「金の先物価格 ことしの最高値に」ついて経済アナリスト馬渕磨理子がコメントいたしました。
◆金価格から世界情勢を読み取る
金価格の上昇から何が読み取れるか。
ワクチン接種の普及によって、『モノの価格』が上昇するのではないか?といった、インフレ懸念が高まっています。
実際、株式市場ではインフレ懸念が高まり、日経平均は1週間で約2100円近く下落する局面がありました。背景には、米労働省が12日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)が前年比4.2%上昇し、2008年9月以来、約12年半ぶりの大幅な伸びを記録したことがあります。
モノの価値が上昇するのであれば、FRBが今、行っている金融緩和・低金利政策をやめ、金融緩和縮小(テーパリング)を早めるのではないかといった思惑が働いたためです。
インフレとは持続的にモノの価格が上昇していくことですので、おカネのモノに対する価値が低下します。具体例を挙げると300万円で買えた車がインフレになれば、350万円必要になります。インフレになった時に価値が目減りする(価格が下落する)代表的な資産は現金です。逆にインフレになると価格が上昇する資産の代表が金です。
◆金は安全資産
その他、金には安全資産としての側面があり、「自然災害」「政権交代などの政治的なイベント」「テロ」などにより、価格が上昇することがあります。
アメリカ国内最大の石油パイプラインがサイバー攻撃を受ける、イスラエル・パレスチナ紛争など国際情勢が不透明なことも金価格の上昇の要因です。
◆インフレ懸念は一時的
足元、金価格の上昇やインフレ懸念が高まっていますが、いまのアメリカの物価上昇は一時的なものだと考えられています。また、先月のアメリカの雇用統計も悪化しており、FRBも早期の利上げには否定的です。
日本はアメリカの状況に遅れて経済指標が発表されますので、この先、日本国内でも消費者物価指数が上昇するというニュースが流れてくる可能性がりますが、過度な心配は必要ないと考えています。