経済アナリスト馬渕磨理子が日経平均3万円についてのコメントをいたしました。
▽日経平均 3万円台回復
・過剰流動性のマネーの相場とワクチン相場
背景にはバイデン大統領が公表した1.9兆ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルスの経済対策が早期に成立するとの観測が強まり、投資家心理が上向いています。その他、新型コロナウイルスのワクチン普及や、緊急事態宣言の解除による景気回復への期待から、出遅れていた銘柄への買いが入って、相場を押し上げています。アメリカでワクチン接種が急ピッチで進んでいる、日本も感染者数が減少傾向であることがあげられます。
◆資産価値と労働価値の格差
今回のコロナは、大規模な金融緩和により「資産を持つものがより資産価値」を高めました。一方、実体経済を止めざるを得なかったことから「労働により賃金を得るという実体経済」がシュリンクしてしまいました。厚生労働省の毎月勤労統計調査でも、「飲食・サービス業」(6%減)、「運輸・郵便業」(4.8%減)である、一方、「不動産」(2.8%増)、「金融」(1.1%増)など、「月間の現金給与額」の格差が開いていることも明らかになっています。
・厚生労働省の毎月勤労統計調査のデータより馬渕作成

◆個人の所得を上げる必要性を提言
日本はGDPの中で、個人消費が50%を超える割合を占めています。つまり、経済の活性化に「個人が元気」であることは必須なのです。例えば、バイデン新大統領は、最低賃金の引き上げの政策を示しています。最低賃金を時給7.25ドル(約760円)から15ドル(約1575円)に倍増させる計画です。日本も、「金融市場」だけでなく、「労働市場」にもしっかりと、お金が行きわたる政策を考えていく必要があります。例えば、今回のコロナで、利益を得たり、時価総額を伸ばした企業は給与として労働者に還元していくことも必要です。コロナによって業種間で広がりつつある格差拡大を早期に埋めることが求められます。