「宇宙開発と持続可能な社会」について経済アナリスト馬渕磨理子が解説いたしました。
◆宇宙旅行へ
宇宙旅行と聞くと、夢やロマンを感じる人も多いでしょう。それだけでなく、産業としても魅力的です。宇宙旅行の市場は、米国の調査会社ノーザン・スカイ・リサーチによれば、2020~30年の累計で約30億ドル(約3300億円)になると予想しています。巨大な市場を生み出す可能性を秘めていますので、宇宙を巡る戦いは、今後さらに激しくなりそうです。この技術を用いることで、旅行以外のメリットもあります。「地球内での移動時間を短縮」「地球上の輸送手段の発展」です。例えば、移動時間を短縮することができます。通常、東京からシンガポールは7時間ほどかかりますが、宇宙を経由すれば「28分」で移動できることになります。ニューヨークとパリも30分で移動できます。
◆一方、サステナブルな地球とは矛盾を感じる
これらの技術は、ゆくゆくは、月や火星に人が移動できることを目的としています。しかし、いま、コロナの影響で格差が広がり、経済の成長を追い求め続ける「資本主義」に対する疑問が浮かび上がっています。また、地球での生命を育み続けるために、サスティナブルな社会を作ろうという動きもあります。「宇宙を領土とし」「火星への移住」を計画することは、素晴らしい技術ではありますが。次なる地球を追い求める動きであり、サスティナブルな社会と正反対の動きに映ります。経済成長がプラトーに達した地球を離れて、「新しい植民地」を求めている「資本主義」の延長線上の動きにしか感じられない人も多いのではないでしょうか。新しい技術には、夢と希望、そして、矛盾が内包しているのが、人類の進化の常なのでしょう。