「アマゾンを独禁法で提訴」について経済アナリスト馬渕磨理子が解説いたしました。
◆現状
米国では「GAFA」と総称される、巨大IT企業の影響力はコロナ以前から問題視されていましたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、外出禁止下でのテレワークや巣ごもり需要などを追い風に業績が好調で、影響力がさらに高まっています。
今回のAmazonの件は、Amazonが、ECプラットフォームとして支配的な地位を築いていることで、その地位を利用して、『オンライン市場全体の価格を高止まりさせている』ことで消費者に悪影響を与えていると当局は主張しています。そして、企業側にとっては、寡占による中小企業の参入阻害にもなります。
◆何が問題なのか具体例
Amazonに限らず、巨大IT企業の強力な市場支配により「独占が市場の競争環境をゆがめる」、「個人情報の流出問題が起こる」など負の影響も生み出しています。
具体的には、グーグルであれば、広告に関わる全プロセスを支配し、自社のサービスに有利となるように利用し、「ピッチャー、バッター、審判」の役割をすべて同時に担うような状況。Facebookは、18年に個人情報が不正利用されるなどが指摘されています。
◆法人税逃れの問題も
これらの、悪影響以外に、批判が強い背景には、法人税逃れの問題もあるでしょう。(一部感情的なもの)例えば、日本人を相手にビジネスをして利益を上げていても、日本にほとんど、法人税を納めないような構造になっています。
GAFAの4社の税負担率は平均約15%で、主要な製造業の半分程度の水準にとどまっています。ITビジネスなど、新たなビジネスの形に合う課税の仕組みを整えることも急務となっています。
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GAFAが提供する製品・サービスは、無料だったり低価格で利用できるにもかかわらず、利便性やクオリティが高いものが多いです。我々も多くの恩恵を受けてきました。
資本主義社会の中で、企業としての成長が求められるわけです。しかし、影響力が多くなりすぎれば、その振る舞いも良識あるものが求められる。巨大化したがゆえの苦悩との言えます。